この記事ではvCenter Server Applianceのログバンドル(vc-support)の作成方法をご紹介します。
vc-supportは様々な手段で作成することができます。
本記事で紹介する手順の内どの方法でvc-supportを生成しても基本的には同じ情報が収集されますが、各手段には概ね以下のような特徴があります。
VAMI… vCenter Server自体を管理するインターフェースからvc-supportを生成します。特にサポートエンジニアから手順について指示を受けていない場合はこの手段での取得が簡単です。また、同様の方法でPSCのログも取得可能です。
vSphere Web Client …vc-supportと同時にESXiログバンドル(vm-support)も生成・取得が可能です。
CLI …GUIサービスが使用できない場合等に利用します。CLIの場合も、同様の手順でPSCのログを取得できます。また、VCSAがデフォルト設定の状態ではファイル転送ソフトが使用できないため、CLIでログを生成した場合のダウンロード手順も本記事でご紹介致します。
1. GUIによるvc-support生成・取得
1-1. VAMI
VAMI(Virtual Appliance Management Infrastructure)と呼ばれる、VCSA自体を管理するGUIからログを作成します。
vc-supportを単体で取得したい場合は、この取得方法がシンプルでお勧めです。
また、指定するIPを変えてPSCのVAMIにログインすれば、PSCのログも取得可能です。
ⅰ. Webブラウザで https://vCenter_Server_IP_address:5480にアクセス
ⅱ. rootにてログイン
ⅲ. GUIのサマリ→"サポートバンドルの作成"
をクリック
ⅳ. vm-support.tgzファイルが作成されるので、作業端末の任意のロケーションに保存
(ファイル名はvm-supportですが、中身はvc-supportです。)
※この手順でvc-supportを取得された場合は、アップロードの際にファイル名をvm-supportからvc-***やpsc-***等、分かりやすく変更いただけますと幸いです。
VAMI (vSphere 6.7/VxRail 4.7の場合)
VAMIにrootログインし、サポートバンドルの生成をクリック > vc-fqdn-date-.tgz が作成されるので、任意のロケーションにダウンロード
1-2. vSphere Web Client(vSphere 6.5/VxRail 4.5以前)
vSphere Web Clientからvc-supportを作成すると、同時にvm-support(ESXiログ)も作成することができます。トラブルシュートに必要なログを一括で取得したい場合に便利な手段です。
ⅰ. vSphere Web Clientにログイン
ⅱ. 左ペーンでvCenterインベントリ リストを選択
ⅲ. リスト内のリソースから"vCenter Serverを選択"
ⅳ. 対象のvCenterをクリック> 監視> システム ログ> システムログのエクスポート
ⅴ. vCenter Server および vSphere Web Client ログを含めますオプションを選択し、"次へ"をクリック
※この時リストされているESXiをチェックすると、同時にESXiログバンドル(vm-support)も取得できます。
ⅵ. ログバンドルの生成をクリック
※"パフォーマンスデータの収集"は、特にサポートエンジニアの依頼がなければ必要ありません
ⅶ. ログの生成が完了すると"ログバンドルのダウンロード"ボタンが表示されるので、クリックし任意のロケーションに保存
ⅷ. ダウンロードできたら、完了をクリック
1-3. vSphere Client(HTML5) (vSphere 6.7/VxRail 4.7以後)
ⅰ. vSphere Client(https://vCenter_Server_IP_address_or_FQDN/ui )にログイン
ⅱ. ホスト及びクラスタビューで、ナビゲータペーンのvCenter Serverインスタンスを右クリックし、"システムログのエクスポート"をクリック
ⅲ. "ホストの選択"ポップアップにて、"vCenter Server および vSphere Web Client ログを含めます。"を選択し、"次へ"をクリック
※この時リストされているESXiをチェックすると、同時にESXiログバンドル(vm-support)も取得できます。
ⅳ. "ログのエクスポート"をクリック
※"パフォーマンスデータの収集"、は、特にサポートエンジニアの依頼がなければ必要ありません
2. CLIによるvc-support生成・取得
何らかの理由によりvSphere Web ClientやVAMI等のGUIサービスが使用できない場合は、コマンドラインでログを作成することができます。
また、sshでログインする対象をPSCにすれば、同様の手順でPSCのログバンドルを生成できます。
※vc-supportコマンドで生成したログバンドルは自動的に削除されないため、事後に手動で削除してください。
2-1. vc-supportコマンドによるvc-supportの生成
ⅰ. VCSAにrootでssh接続
※SSH有効化方法についてはこちら
ⅱ. デフォルト設定ではAppliance Shellにログインするため、Bashに遷移
Command> shell.set --enabled True
Command> shell
Shell access is granted to root
root@vc [ ~ ]#
ⅲ. 下記のコマンドでログの生成を開始
# vc-support -l
※例
ⅳ. 生成されたログは/storage/log/配下にvc-***(FQDN-日付).tgzとして保存される
2-2. ファイルシステム内に作成されたvc-supportの取得方法
デフォルト設定では、VCSAにログインするとAppliance Shellと呼ばれる操作の限定されたシェルにログインする仕様になっています。
Appliance ShellはSFTPやSCPに対応していないため、WinSCP等のファイル転送ソフトでVCSAにログインしてもログを作業端末にダウンロードすることができません。
クライアント側からファイル転送ソフトやscpコマンドを使用してファイルを受信したい場合は、
下記のKBを実施してVCSAのデフォルトシェルをBashに変更する必要があります。
WinSCP を使用してファイルを vCenter Server Appliance にアップロードするとエラーが発生する (2147941)
https://kb.vmware.com/s/article/2147941
または、VCSAのローカル側からsftpコマンドやscpコマンドを使用して、リモートホストにファイルを送信する方法もあります。
こちらの手順では、コマンドはVCSAのBash Shell上で発行されるため、デフォルトシェルを変更する必要はありません。
リモートホストがSFTPやSCPに対応している必要がありますが、一旦リモートホストにログを転送すればWinSCPでファイルをWindows端末などにダウンロードすることができます。
※vc-supportコマンドで生成したログバンドルは自動的に削除されないため、事後に手動で削除してください。
※いずれの場合も2-1-ⅱの手順を参照し、Bash Shellにログインしてから実施します
scpコマンド例
# scp /storage/log/vc-***.tgz リモートホストユーザ名@リモートホストIPアドレス:リモートホストディレクトリ
The authenticity of host '**.**.**.** (**.**.**.**)' can't be established.
ECDSA key fingerprint is SHA256:HBR8h9gdCT9Vd1HzOAH6WBgXNReE1YZ6vRO8e/agU40.
Are you sure you want to continue connecting (yes/no)? yes
Warning: Permanently added '**.**.**.**' (ECDSA) to the list of known hosts.
Password: ←リモートホストのパスワードを入力
vc-***.tgz 100% 400MB 175.7MB/s 00:02
root@vc [ ~ ]#
sftpコマンド例
# sftp リモートホストユーザ名@リモートホストIPアドレス
Password: ←リモートホストのパスワードを入力
Connected to *****.
sftp>
sftp>
sftp> put /storage/log/vc-***.tgz ←putコマンドでvc-supportをリモートホストに送信
Uploading /storage/log/vc-***.tgz to /***/vc-***.tgz
/storage/log/vc-***.tgz 100% 400MB 127.1MB/s 00:03
sftp> bye ←byeでセッション終了
root@vc [ ~ ]#
3. 参考情報
ファイルシステム容量確認
vc-supportはファイルサイズが3GB以上になるケースがありますが、多くは/storage/logおよび/storage/core 配下に溜まっている過去のサポートログやcoreファイルが要因となっています。
ファイルシステムの空き容量が不足している状態でvc-supportを作成し、パーティションの使用率が100%に達すると
vSphere Web Clientにアクセスできなくなるなどの事象が報告されています。
/storage/log配下に過去の不要なログが確認された場合は、削除してください。
また、vc-supportコマンドに -wオプションを付加することで、ログを生成するディレクトリを任意で指定することできます。
下記の様に容量の空いているディレクトリを特定してから対象のロケーションにvc-supportを作成することも可能です。
出典:
VMware vCenter Server 4.x, 5.x および 6.0 の診断情報の収集 (2079103)